どくだみの咲いてひそかな香を放ち

友人があなたの好きな花は何なのと聞いてきた。ためらいもせず答える。「野の花、特にどくだみよ」この答えに友人は笑い「うっそー、そうなの、どうして?」。
何でかな、自分の郷里に咲いていた庭の片隅のどくだみに何の愛情も感じなかったし、抜いても抜いても生えて来るどくだみが憎らしいと思った事もあったのに。それでも好きなのはあの風情がふるさとに通じるからかもしれない。我が家の近所の空き地にどくだみだけの花園を作ってみた。歩道橋の下の日陰なのにびっしりと生えて、今では知る人も増え枯れるのを待って、乾かして薬にするといって採集する人もいて喜ばれている。
友人のお母様がどくだみの色紙を書いて下さった。この頃になるとどくだみの花と一緒に和室をひきたててくれる。