台風の目が牙をむく午後10時

昼間、「台風なんかどっかに行くわよ、ここまでするん?」とブツブツ言いながらめだかの重い瓶以外の物を全て部屋に取り込んだ。風はあるけど蒸し暑く夕食時にはクーラーをかけてオリンピックの特集をテレビで見ながら、「ほーら台風なんて」とまだ疑っていた。
ところがだんだん風がすごい、ガラスを打つ風がすき間にヒュウヒュウと音を立てて入り込んでくる。雨が降る。こわい。このベランダの一枚ガラスが割れたらと思うとぞっとする。テレビでは屋根ごと飛んでいった家もあると言っていた。台風の多い夏だった。