食卓に不協和音が響く夜

「聞いて、今日ね、久しぶりに万歩計つけたら6000歩やったんよ」
「ふーん、朝のウオーキング以外は歩いてへんのんか」
「里芋の畝を今度はとうもろこしにしょうと思って今日耕してきたんや」
「あそう、大変やったね」
夕食を食べながら他愛もない話をして、お互いの話にもええ加減に相槌を打ちながら、ビールと焼酎で1時間ばかりユックリ飲んで食べていた。
「あーッ、大変!ご飯を炊くのを忘れていた!」
それからのオットセイは豹変した。
「どうしてそういつもヘマばっかりするんや!そこは家事のプロやろ!こっちが米を食べんと納まらんて知っとるやろ!」
ありとあらゆる小言を並べる。
この人はなんでこうも白いご飯が好きなのかと米を研ぎながら考える。
やっぱりあの経験て大きいよね。そうだ、戦争だ。疎開で食べられなかった小学生が、今の言葉にこもっている。可愛そうな時期を過ごしてきたんだ。私はおかげさまで戦争を知らない。白いご飯が好きだけどなくても平気。
それにしてもあの変わりようには、頭に来る。餅もあるしうどんもある、スパゲティさえいっぱいある。それを絶対許せない性格にほとほと参ってしまう。
いつも、時間をかけて食べて飲んだ後には、「さあ、ではご飯にするか」と改めてご飯グッズを並べる。漬け物、味噌汁、梅干し、ちりめんじゃこ、海苔、柚子こしょうなど。
こんな時、マタマタヘマをしてしまった。炊飯器君に命令を出し間違えた。早炊きにスイッチオンすれば、待つことなど知れていた。それを呑気に前炊き、中炊き、後の蒸らしと40分も待たせたのでえらいおかんむり。おかげで焼酎がたくさんのめたと喜べばいいのに・・・。
不協和音のまま、早い眠りに着いたオットセイ。
さあ、いよいよ私の時間だーッ。ああこわい自分に反省・・・。