くゆらせたパイプが素敵だった頃

朝から雨がふってきて、歩くのさえも足止めをくった彼は、家で暇を持て余しています。
そんな折、サイドボードの中から、15年以上も前にやめたパイプが並べられました。やめたのに手放せず年に何回か磨き続けているパイプ、この手触りは、放されないとのこと、いとおしそうに時々匂いをかぎながら今日もひとときを幸せそうに磨きます。
その昔神戸や大阪などのタバコセンターや大きな文房具の店などで、お気に入りを見つけてきて、内緒で棚のパイプが増えました。
目ざとい二女に「あ、又買ってきたの」と指摘されるので、すぐばれたものです。
洋タバコの甘い、優しいにおいは今もその空き缶に残っています、捨て切れないで釘などを分類しています。
パイプをくゆらせていた頃、タバコだけは誰がなんと言おうとやめるものかと豪語していたのに、病気で手術をした折、看護士に「タバコはやめてください」とはっきり言われて、即やめました。
若い小娘に馬鹿にされたように聞こえたそうで・・・。その小娘さんに感謝です、その後リフォームした壁は汚れなくなりましたから、彼の体の壁もうきれいに生まれ変わった事と思います。。