なあおかんよんだだけやというおかん

おかん

おかん

句友が、ボランティアで読み聞かせをしているという。
「なあ おかん」
「なんや」
「なあ おかん」
「だから なんや」
「よんだだけや」
「まったく・・・」
おかんを今日読んできたんよ、ちょっと聞いてみてくれる?
童話のおかんを軽妙に大阪弁で読んでくれた。
ちょっぴり用があって出会った夕暮れの車内でした。
あれ、うっすらにじんだ涙のわけは、故郷での母との思いがよぎったのでした。
「お母ちゃん・・・」
「なんや」
「お母ちゃん」
「なんや言うてみ」
「ううん、ちょっと呼んでみたかっただけや」
「おほな子やな」
壁越しに、呼んだあのころ。
小豆の殻をとんとんとたたきながら母は答えてくれたっけ。