思い出して再加熱するあの喧嘩

雨がふる日、ウオーキングも菜園もままならず、ビデオの片づけをはじめた二人、オットセイはテレビの洋画の整理、本をほり出して本箱にたまりにたまっている、昔懐かしき洋画の数々に「そんなにため込んでどうするの、映画館では見たんでしょう」と言うと、「動けんようになって外にでられんようになったら、見るんや、この赤い靴は最後には事故で死んでしまうんや、この哀愁はつかの間の恋に燃え上がる二人がたまらんのや」とかよくよくご存知のものばかり。パソコンのラベル印刷で一生懸命題名や俳優名など書き込んだり忙しくしている。
私は、その昔娘から送られた孫の可愛い成長の記録を、一巻き毎に、余りの可愛らしさにニヤニヤしながら見ている。時々、オットセイを呼んで、見てみてほらあの時二人で横浜まで行ったよね。私はあの足よほら又通った、などと主役の孫の姿をとらえた画面に時々現れる自分を見て、それでも懐かしがっていた。夫も写る自分を見て微笑んだり声を出して笑ったりしていた。
その時、「これは京都の場面よ、ほらあのホテルで落ち合ってから子供達は東寺に行ったのね。」と言った途端、
「あの時はようも、家庭を捨てて家を出られたもんや、娘達が帰省して京都で落ち合うその前の晩に家出とは、主婦たる者があつかましい」とか言い始めた。こちらも言われるままでは家出の意味がわかってないと10年も前の事で一から言い合いが始まった。「あなたは、仕事に疲れていて、家で怒鳴ってばかり!、私も介護に通っていて疲れてるのに、いつも家来に向かって言うようにえらそうに言われるのも腹が立つから反省をしてもらおうと家を出たんやないの!」とかなんとかひとしきり・・・途中で黙ったのはオットセイ・・・。しもた。今さら、喧嘩しても始まらない。二人はもう先が見えている。喧嘩している場合ではない。二人っきりじゃないの。ごめんなさい。
ビデオの中の孫の笑顔に救われた。