読書三昧静か分け合う病人と

夜中まで読みすすんでもう少しと言うところで持ち越したので、朝食後を楽しみに起きた。
すると、「オットセイがおかゆを頼む、しんどいからパンは受け付けん、熱い茶を」と珍しい。これこそ鬼のかく乱。半カップの米を雪平に入れて10倍の水を入れて40分、じっくり炊いて梅干しと茶を用意して枕元へ。
とろりとした目で「すまん」。
早いとこ掃除を済ませて、本を読もうと掃除機をかけ始めたら電話。友人が「ちょいと、今日パパがお葬式でいてないねん、来ない?」と電話がかかってきた。「寝てんのよ、食べられないねんて」「むかつくんでしょ、お腹もいたいんとちがうん?熱があるはずよ、計ってみて、子供が勤めてる学校では大流行の風邪らしいから」と電話が切れた。掃除どころではない、揺り起こして熱を測ると38度。やっぱり。昼は消化のよいものでと百合根や湯葉、ぎんなん、うなぎなど入れて茶椀蒸しを作る。
午後はやっと静かな自分の時間。80分で記憶がなくなる博士とヘルパーとその息子の気遣いする心が嬉しくて、小川洋子博士の愛した数式」にのめりこんだ。15年一人で暮らした母の「認知障害」だったあの頃とだぶって泣けてきた。