三浦しをんが一気に駈けて行く冬日

風が強く吹いている
娘から送られて来る本はいつも、やめられないとまらないと言う面白い本ばかり。
今日も今日とて「風が強く吹いている」という、毎年正月に行なわれている箱根駅伝に挑む10人の個性を持った素人集団の壮絶な1年間の練習とその成果の話。
そして何より、この10人の仲間から、それぞれに人間誰でも1人では得られない集団の中から自分を見つめなおし鍛えなおす事が出来る素晴らしいストーリーが込められています。
なんでも短絡的に、悲観しがちな若者が、多くの人の中にいて成長するさまを読み進むうちに、今の若者に是非読んでもらいたい本だと思いました。
ラソンの肉体の限界に過酷な孤独との戦いと共に挑むスポーツを、まるでテレビの実況放送を見るような気持ちで、この画面に向って叫びながら読み進みました。
苦しくても、放棄しないで、苦しみの狭間で、自分の境遇を振り返りつつ自分の限界を超えるまで、走りぬいたその区間区間の子達。
読んでいて物語とは思えないほど感動して読みながら声を出して泣きながら応援するさまを、オットセイは「何事や」と部屋をのぞきに来ていました。
ゆっくりした雨の冬日、心はあつーく燃えました。
先日、山崎豊子の「女系家族」でおどろおどろした遺産争いの上下本を読み終わったばかりだったので、なんだか異質のこの本が一層気に入ったのかもしれません。